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a IESE class of 2014, strategy consultant has focused on emerging economy and innovation management writes about learning from MBA, feeling from daily life, with photography. Twitter : @dsaga


by dsaga
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挫折力―一流になれる50の思考・行動術

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挫折力―一流になれる50の思考・行動術 (PHPビジネス新書)
冨山 和彦 (著)

富山氏の過去の著作はいくつか拝読している。特に会社は頭から腐る―あなたの会社のよりよい未来のために「再生の修羅場からの提言」指一本の執念が勝負を決めるが心に残っている。

当書は上記2冊の内容を踏まえて、リーダーたりうるために必要だと筆者が考える”挫折力”をいかに身に着けていくのかを説いている。冨山氏の著作が鮮やかに心に残るのは、キレイ事を抜きにしたリアリティを感じるコンテンツと、アツい語り口があるからだと理解している。読んでいると本人が力説されている姿が思い浮かぶように感じられる。

僕はこの書籍にて語られているようなエリートではない。人生をかるく振り返るだけでも幾つかの失敗・挫折は容易に思い浮かぶ。迷惑をおかけした周囲の方へは今思い出しても申し訳なく思う。ただ、個人に閉じて考えれば、既に過去のことだり後はどう解釈するか/何を学んで今これからの糧にするかを考え、実際に得るための収穫物の1つだ。過去は変わらないがそれを思い出し解釈する自分は変わり続けているはずだし、自分が変われば過去から学べることも変わるのだし。

勿論挫折を経験した直後は結構なダメージを受けていたのも覚えている。こういうの人間らしくて好きだ。好んで挫折するつもりは微塵もないのだけど。問題はその期間の長さと、次のチャレンジでどれだけこの挫折を生かせるかだろう。

そして上記のように挫折を恐れずに自分の価値観にしたがって行動するということを、どれだけのものを背負ってできるかというのがこれからのチャレンジになるだろう。挫折してもそのダメージを受けるのが自分だけならなんとでもなると思うし。背負うものが重ければ重いほどダメージは大きく、多ければ多いほど傷つけるものも増えるのだから。



心に残ったコメントを幾つか抜粋する。
P.56
だからあなたも、もっと自分の好き嫌いに正直になっていい。そもそも、そのほうが人間として自然である。ほんとうに大事な決断を下さねばならないときは、ほとんどの場合、あれかこれかだ。結果的に失敗しても後悔しないものの決め方は、自分の好きなほうを選ぶことである。何かを捨てれば、その瞬間、捨てられた人々は怒るだろう。しかしそこで優柔不断に問題を先送りしたとき、その先で彼らの人生はより深く傷つき、あなたは一生、心の底から恨まれることになる。
P.63
この際、世界の権威とか、その道の大先生とか、全然気にすることはない。極端な話、必死に自分の頭で考え、自分で仮説を生み出して、挫折を繰り返しながらたどり着いた「自分流」こそが正解なのだ。そしてこの過程において生まれた「勉強不足」の意識こそ、新の学ぶ姿勢である。そこからの学びこそが、新の知識や知恵を私たちに与えてくれる。
P.91
悩むのは「うまくいかないのではないか」と考えてしまうからだ。これは生産的ではない。悩む暇があれば、「やるしかない」の覚悟で行動する。失敗しても、挫折に打ちのめされる暇があったら次の手を打つ。そうすればいずれ、活路を見出すことができるのだ。
P.108
苦しみの底にあって、人はその痛みをわかる人にしか、心を開けないし、勇気づけられないものなのだ。
P.118
どんな格好いいことをいっても、難しい議論を展開しても、現実の人間は、性格と自分自身の根本的な動機づけ要因からは自由になれない。この二つに人間は弱い。私自身も含めて。
P.181
人間の幸福感の多くは、現在の富や地位の絶対値よりも、それが上昇していく相対的な変化にこそあるものなのだ。それを実感を持って知っているリーダーは、厳しい状況でも、いや厳しい状況ほど、仲間や組織を勇気づける力を持っているものである。
P.216
(うまく機能していない組織やチームのほぼ共通の特徴について)チーム全体の利益や目標と、チーム構成員間の人間関係上の都合と、構成員個々人の利益や価値観との間で、共通の領域を見出せなくなっていることだ。組織は人間の集合体。生身の人間はこの三つの共通領域でしか、思い切り頑張ることはできない。
P.246
全体の利益と部分の利益。手段の正当性と目的の正当性。経済的な合理と人間的な情理。これらを正反合するためには、リーダー自身の中に、理想や理念を追いかけ続ける強い志と、それを実現する過程での人間界の悲劇をも飲み込むリアリズムとが、共存しなくてはならない。

by sagad | 2012-05-04 16:03 | Book