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a IESE class of 2014, strategy consultant has focused on emerging economy and innovation management writes about learning from MBA, feeling from daily life, with photography. Twitter : @dsaga


by dsaga
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イノベーションのジレンマ

イノベーションのジレンマ_e0019200_1244890.jpgイノベーションのジレンマ

本としての構成の完成度も高いし、内容も濃密だった。
構成で良いと感じたのは2つ。1つは筆者が実際に自動車業界の1マネージャとして電気自動車をどう扱っていくかを、本の内容の示唆に従ってケースとして書かれているので考える過程がトレースでき理解しやすいこと。1つは最後にこの本の主張が完結にまとめられており、それを元にしたディスカッションのための問いかけが用意されていること。

内容については後日。

ということで内容について(5/11)。

イノベーションのジレンマというのは、簡単に書くと以下。(思いつくままに書いたので内容はまとまっていないです。)

●破壊的なイノベーションというのは最初は大企業のターゲットセグメントの要求を満たすものではなく、他の軸で評価しても既存技術より劣っているが、後に上記ターゲットセグメントの要求の軸をひっくり返す可能性の高いもの。

●大企業はターゲットセグメントの要求を吸い上げてそれを満たすようなイノベーションを起こし続けることで優位性を築いている、且つ株主の期待を継続的に満たす成長を続けることが強く求められるため、上記破壊的イノベーションが存在する小規模市場、もしくは市場形成される前の段階でそこに参入することをしない(ビジネスモデルの構造、成長維持向上のため選択できない)。

●その結果ターゲット顧客の軸をひっくり返され始めたときには、それを満たすようなイノベーションを起こそうとしても間に合わず、遂にはリーダーの座を追われてしまう。

大企業、リーダー企業として存在できていた理由 ≒ 破壊的イノベーションによってその座を追われる理由、ということになってしまうというところがイノベーションのジレンマ。

どうやってこのジレンマを解消したらいいのだろうか。

考えてみてふと頭に浮かんできたのが”成熟度”というものだ。

最初に頭に浮かんだのは”株主の成熟度”というもの。
株主が破壊的イノベーションへの投資をgoといえるだけの判断力を持っていれば、というもの。

上記のジレンマを考えたときに、企業としては、破壊的イノベーションの芽を自社内/自社外に見つけることができたら、それを追求し自社がそれをリードするための組織を”小さく(適正な規模で)”つくり、自社の本業から切り離して運営させることで追いかけられると思う。勿論それが本当に”破壊的な”イノベーションなのかどうかの判断、その判断が正しいとしてもそれがいつ本業のターゲットの従来の要求の軸を”破壊”しうるのか、という不確実性は存在する。しかし、そのリスクは実際に自社のターゲットの要求の軸を破壊されるリスクに比べたらとるべきものであると判断できるだろう。

しかしそのときにネックになるのが2つめの●で書いた株主の期待だ。

このイノベーションは何%の確率で破壊的になる可能性があり、そこに手を打つのにどれだけのコストがかかる、ただその投資が何年後、自社の株主価値にどれだけ貢献すると見込まれる。

という話を株主を説得するに足るロジックと根拠を持って語るのは困難だ。

ここで、もし不確実な投資、ロジックが若干曖昧な説明であっても、それが正しかった場合に投資していなかったときのリスクを考え、天秤にかけて投資をGoといえるだけの株主の判断力が必要になるのではないか、ということ。


あくまで想定だけど、自分が株主になるなら、何かこう、優等生の戦略を常に描いている企業よりも、わくわくさせる、世の中の人々の心を輝かせる、ロジックでは判断しきれないけど投資したくなる”何か”を持ってる企業の株を持ちたいと思う。


待てよと。


株主への説明を明確にするのは本当に困難なのだろうか。
説明されるときに本当に欲しいのは、投資対象そのもののリスクも気になるが、それをどういうスタンスで追いかけようとしているのか、という部分じゃないだろうか。(勿論規模によるけど、破壊的イノベーションは小規模からスタートする可能性が高い。従って投資の額そのものは小さいと考えられる。)

自社として株主価値を分解したときに、そこに貢献する(であろう)ものの要素の1つとして、”イノベーション”に関する指標を入れて、それを追いかける際のKPI、Go/NoGoの判断のポイントと基準を明確にしたら株主の不安はいくらか拭えるのではないだろうか。

そもそも小額の投資なのであれば、株主はそこまで細かく指摘し、期待を裏切られたと嫌気したりするのだろうか。

株主の成熟度が低くても、企業からイノベーションに関しての”見える”度合いを上げることができれば良いのではないだろうか。


次に浮かんだのは”市場(顧客)の成熟度”というもの。

プロダクトアウトからマーケットインへ考え方がシフトして久しいと思う。
自分たちが顧客のニーズを定義できる時代は過ぎた。顧客のニーズは多様化/細分化しており、それぞれを満たすために市場の声に耳を傾け、必要としているものを市場へ届けなくてはならない、と。
そのために戦略を練る。その戦略を実現するための何ができればいいのかを練る。それを実現するのに適した手段を選び、実行していく。

市場ニーズを頂点にしたピラミッド構造ができあがる。
従って、戦略を支える”できるべきこと”、できるべきことを支える”手段”は市場のニーズに従う。

上記構造がキレイにできていると、”手段”は市場のニーズを満たすのにどれだけ貢献するかという軸で評価されるため、市場のニーズを満たさない、もしくは満たすが貢献が小さいと判断される”手段”は種の段階で捨てられてしまう。

ここで考える。

市場がニーズとして持っているものの確からしさはどの程度なのだろうか、と。
逆に市場のニーズは満たせない/満たす貢献度は低いであろう種や芽から市場のニーズを掘り起こす、確かめるというアプローチが必要なのではないか、と。


企業として、顧客ニーズを満たす、というか顧客に対して自社の存在価値を最大化する努力を継続することは必要不可欠な活動だ。ただ、それと今の顧客のニーズのみ満たすということは”=”ではないということを認識する必要があるのではないだろうか。

そして、上記、将来のニーズを掘り起こすために戦略、Capabilityに紐付かないEnablerも、そこから逆にニーズに結び付けてみる、仮説を立てて検証してみる。そういう”場”を持っている必要があるのではないか、と。



…思いつくままに書いてみると本当にばらばらだな(^^;)

未熟。発散するにしてもそのスピードも広がりも。
by sagad | 2006-05-10 01:26 | Book